2011年9月26日月曜日

鳥の島の種 2011.9.23

『鳥の島』という大好きな絵本がある。作者は川端誠さん。
「空にあこがれ、海のむこうにあこがれて、
毎年、毎年群れを離れて飛び立ってゆく鳥。
けれど、海は広く、力つきた鳥は沈む。
何百年、何千年。何羽も何羽も。
そうして沈んでいった鳥たちが積もって、いつしか島ができた。
ある年、その島で羽を休めることの できた鳥が
ついに夢をかなえる。その時…」
という物語なんだけど、
中島みゆきの名曲『二艘の舟』や『この空を飛べたら』にも共通する
他者から見れば無駄にしか思えないかもしれない精一杯な生き方、
強い願いは叶う、命をかけるほどの願いならばきっと叶う
という心ゆさぶられるメッセージが感動的。

おすすめです。ぜひ一度絵本を見てみてください。
この絵本は単なる絵ではなく、紙粘土のレリーフとして作られている。
立体感のある、非常に手の込んだもので、
作者川端さんの気迫がビリビリ感じられる。
実はnoomはこの絵本、原画展で実物を先に見て知ったので
さらに印象深く心に焼き付いているのだった。


そして限りない願いは、一つの奇蹟を呼び起こす。

…その時、大波が島によせ、鳥の島から、「大きなゆめのひとつひとつのかけらを空へふきあげた」

「過去の世界」が崩壊し、想いのすべてが天に向かって昇華していくクライマックスシーン、
バラバラと画面がパズルのように崩れ去る。
そのパズルのピースは一つ一つが鳥の形をして空に向かう。

前置きが長くなったが
そんなラストシーンを思い出させる不思議なものを見つけた。

細長くて茶色のイモ虫が枝先にぶら下がっているようだ。
一つ手に取り、少し強くひねったりつまんだりすると…











無数の鳥たちが現れる。

 そして風に吹かれて飛び立ってゆく。




鳥の正体はシラカバの種。
シラカバの種がはらりと分解しておもしろい、
というのは前から気づいていたが、
この前その種が鳥の形に似ていることを発見し、
「鳥の島」を思い出しうれしくなってしまった次第。


白樺の鳥たちは風に身を任せ、
いつか大きな木になることを夢見て
これからどこに旅立ち、
どんな未来が待つのだろう。

そんなところも絵本とつながっているかのようだ。

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