2011年8月13日土曜日

白髪雨 2010.6.10

我が家の裏には大きなクリの木がある。梅雨のこのごろにはいつも雨が降っている。いや雨が降っているような音がする。パラパラぱらぱら…。耳をすませばさらにちいさなささやくような音。さりさりさりさりさり…。
この雨音の正体は白髪(しらが)太郎たちのしわざ。先日までは黒髪小僧だったのに、今日見たら老けたのか大部分が白髪になっていた。老けたと 言っても一皮むけただけ。そう、彼らは葉っぱを食べている毛虫。noomの大好きなクスサンの幼虫のことなのだ。だれがつけたか白髪太郎という絶妙なニッ クネーム。この子たちの昔からのヒトとのかかわりや存在感の大きさが名前からも伝わってくる。余談だがこの子は三兄弟の長男で、ほかにも黒髪次郎と茶パツ 三郎がいて、彼らは今の時期になぜかよくわからないが、道路を横切っている姿をよく見かける。もっとも次郎と三郎はnoomが太郎にインスパイアされて個 人的にそう呼んでいるだけだが。
まず色がきれい。お仲間のオオミズアオに似た、なんともいえない涼しげな薄荷緑の体から、さらにそれより白みがかった長い毛が全身に生えている。体の横の黒と黄色が作るラインには明るい初夏の青空を写したかのような水色の水玉模様が並ぶ。
さらにでかくてインパクトがある。さりさりと音を立てて葉を食べながら、これからさらに食べ続け10センチ近い大きさになると、枝先からときど きボトッと落ちてくることもあるが、迫力がある。ちょっと最初は勇気がいるが、毒がある訳でないから触っても大丈夫。チクッとたまにするのは時折混じる剛 毛のせい。そしてこの重量感。なによりもうごくときのくすぐったさ。太郎を見つけるとよくこどもにさわらせるが、最初緊張してびくびくしていたのに、最後 にはかわいい〜と毛をなでる、その変化の様子〜まさに「自然」とのふれあい〜の一部始終を見るのは、いつもとてもとても楽しい。
ぱらぱらと雨のように音を立てて落ちてくるのは太郎たちの黒緑色のフン。雨というよりは霰かしら。正露丸くらいの小ささなのにどれもただ丸い だけでなくスリット模様付きなのも芸が細かい。雨の日も,そして晴れている日も、屋根の上に、塀の上に、日に日に降りしきる虫たちの長雨…。
このあと「梅雨明け」したら太郎たちは近所のあちこちに民族大移動してヒトを驚かせ、長い静かな「夏休み」のはじまり。「夏の自由工作」の風 通しのいい手作り隠れ家の中で、大人になるための勉強に集中。そして夏の終わりには小麦色した日焼け少年?美人?に変身して、またまたヒトを驚愕させてく れます。ただし虫慣れしてない人たちには「納涼お化け体験」だけど。
noomがなぜ白髪太郎に強く惹かれるのかといえば、「常にヒトに驚きを与え続ける存在」としての「自然」、そのエッセンスが彼らに凝縮されているように感じるからなんだろうな。

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