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2012年7月18日水曜日

富士山麓の妖しい森でヤマンバに遭遇




昨日、富士山麓の森の中で奇妙なものを見つけた。
梅雨明したばかりの夏の森
しゃがんで小さな花や苔たちの写真を撮ったりしていると、
地面に「動物の毛?」があちらこちらに落ちている。
こういう場合にはよく近くに動物の遺体があるので、興味を持ってよく見てみる。
黒くて少しつやがあり,長くて 剛毛っぽい。
なんだ?そう、 まるで髪の毛みたい。ここは富士山麓。いやいや。まさかそんなことは…

と一瞬ぎくりとしながら
人間の捨てたテグス状のゴミではないか?とも思いつつ
ひとまず引っ張ってみると、プチッと抵抗がある。
そして落ちているのではなく土の中から出ているようにみえる。
基本は髪の毛状だけど、ときどき分岐して三叉している所がある ので
ゴミではないな。
 不思議に思いつつも し、地中の枯れ枝に付着しているし、キノコか地衣のなかまだろう?
その場ではそれぐらいしか分からなかった。




家で調べると、見つけたのは「山姥の髪の毛」だったということが分かった。

*ヤマンバノカミノケとは、特定のきのこ(子実体)を指す名前ではなく、樹木(小枝)や落葉上に「根状菌糸束」と呼ばれる独特の黒い光沢 を持った太くて硬いひも状の菌糸の束に対して、伝説の奥山に棲む老婆の妖怪である「山姥(ヤマンバ)」の髪の毛になぞらえて命名されたもの。
どうりでこれだけ特徴的なのに、キノコの図鑑を調べても載ってない訳だ。

*この黒色の根状菌糸束を形成するきのこには、ホウライタケ属やナラタケ属、さらには子のう菌であるマメザヤタケ属のきのこが含まれ、林内一面に網目状に 伸びることもあれば、数メートルの長さに達するものまであるらしい。
そういえば、近くにこれも奇妙なかたちのマメザヤタケがあるのを見かけた。
マメザヤタケ


*通常、きのこの菌糸は乾燥に弱いのですが、ヤマンバノカミノケと呼ばれる菌糸束は細胞壁 の厚い丈夫な菌糸が束の外側を保護していることから、乾燥や他の微生物からの攻撃に対して強靭な構造となっています。アフリカのギニヤやマレー半島の原住民などは織物にしてとても美しい腰帯として利用しており、日本では半永久的に光沢があることか ら、神社やお寺などの「宝物」として奉納しているところもあるようです。
およそキノコらしからぬ姿。でもこの変幻自在っぷりがキノコワールドのおもしろいところ。

*想山著聞奇集には「尾張国春日井郡氷野村の庄屋方の焚き残りの薪の中で、ニワトコに似た細い木に長い女の髪の毛のようなものが幾筋も生えているのをふと 見つけた。余りに珍しい物なので代官陣屋に訴え出たところ、名古屋に運ばれたが、如何なる物か評議がつかなかった。本草学に詳しい者もいたけれど、『珍し いものですなあ』と言うだけで、さっぱり知らなかった。(中略)これは文政八年のことである。」とあり、同様の記録が各地に残っている。

また日本各地の神社や寺の宝物の中に「七難の揃毛(そそけ)」と呼ぶ長い髪の毛のような物があるが、これもきのこの根状菌糸束かもしれない。箱根権現、 下総石下村東光寺、江州竹生島、信州戸隠山の物が有名である。閑窓瑣談によると、「上野国甘楽郡新羽村に神流川という川があった。慶長の頃、洪水の時にそ この板の橋にとても怪しげな毛が流れて引っかかっていた。地元の人が見つけて拾い上げてみたところ、毛の長さが三十三尋(約六十m)以上あった。色は黒く て艶があって美しかった。しかし何の毛であるか判らなかった。村人達はあまりにも驚いて色々と相談したが、その侭放っておくのもどうかと思い、その頃有名 な易者に占わせたり、湯立ち(占いの方法)したりした。すると『この毛は、野栗権現が流したもう陰毛である。』と巫女が言ったので、毛をその神社に奉納し た。当時は陰毛の宝物として有名だった。また毎年六月十五日の祭礼の時は御輿が出るのだが、後にはその陰毛を箱に入れてこれを恭しく持ち歩くそうであ る。」だそうだ。
↑このあたり、非常におもしろい。確かに陰毛の印象に近い。
今回は予備知識無しで実物発見から謎は始まったので、
不思議な未知の自然との出逢いの記録が、伝聞によって神や妖怪、伝説の誕生になる瞬間を追体験できた気がした。

  このヤマンバノカミノケの子実体を発見し、根状菌糸束であることを日本で始めて明らかにしたのは、世界的な博物学者として知られている南方熊楠。
そうだったんだ!この森では他にも粘菌や冬虫夏草のサナギタケをはじめ、菌類に目を奪われっぱなしだったのだけど、期せずして憧れのミナカタ先生の追体験ができたことも今回の大収穫だった。
マスタケ



お玉みたい


サナギタケ
さなぎたけの下にさなぎ
しがみつく巨大爬虫類のようだ






カイガラタケ

サンドアートみたい

タマサンゴホコリ?
ススホコリ?
この直後、カメラを落として粘菌がべっちょり



 


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2012年2月15日水曜日

十人十色

今週のNHK地球ドラマチックは
途中から見だったけど、ぐいぐい引きつけられた。

“色”は脳で作られる! ~あなたと私は同じ色を見ているの?~
http://www.nhk.or.jp/dramatic/backnumber/258.html
勝負服に向いているのは何色? 思わず夕食に行きたくなるレストランの照明の色は? 
私たちは、多彩な色に囲まれて暮らしていますが、思って いる以上に“色”からの影響を受けているようです。たとえば、スポーツ選手が赤いユニフォームを身につけている場合と青いユニフォームを身につけている場 合では、心拍数やホルモンの分泌などに違いが見られるというのです。

さらに私たちは、空の青い色、血液の赤い色、木の葉の緑の色などの身の回り の色は、誰もが同じように見て感じられるものだと思っています。本当にそうでしょうか? “色”を認識するため、脳の中では一体何が起きているのか。色を 感知するメカニズム、色彩と感情についての謎を解明します。
↑以上番組紹介文より

個人的におもしろいなあと感じた点をピックアップ
(正確さは保証しません)
・赤い服の方が強い、他からみて有意に強く見える
★noomは赤い彗星シャアザクや、戦隊もののリーダー、ウルトラマンについて思いを馳せていました。

・青い照明にしたお店が、通常と違う時間帯で不思議なにぎわいを見せるようになった&相手が魅力的に見える
★なんでだろう?月夜に、外に出た時に感じるドキドキと似ているのかな。日中や通常照明では目には自然に情報が入ってくるが、暗い中では積極的に「視る」ようになるから?

・はじめに青と黄色ありき。原生動物?の頃から。つまりそれは海中から見上げた空の色と、そこに差し込む太陽の光の色。よってこれらの色は感情に対して鎮静的に働く。
・赤と緑は進化上、後から知覚できるようになった。(ほ乳類では霊長類のみ)
・赤と緑はプラスマイナス両方向に対して感情を高ぶらせる。(例えば木の実のおいしさや毒)
★緑についてはギモン?を感じる。緑は赤の補色だからかな。つまり赤が見えるようになったので、セットで緑も認識できるようになった?調べてみると心理四原色というのもあるんですね。
http://www.sikiken.co.jp/pccs/pccs02.html

・文化によって識別できる色が違う
・個人によっても識別できる色が違うようだ
それが歴史的なものは同じ色と認識
感情的なものの場合は強弱がある。(バナナは誰がみても常に黄色だが、絵の中の色は人によって受け取り方が違ったりする)
・色を補正する眼のしくみの不思議。光源によって変わる色をデジカメのオートのように色補正してしまう
・同じ色や風景を人は見ているのだろうか。色は人類最大の錯覚かもしれない。



★以前からときどき考えることがある。
今同じ場所で同じものを見ている人がいる、として
色だけでなく、目で見ているものは果たして同じものなのか、
眼鏡や写真を通して見ているものは
世界を本当にありのままにみていることになるのか
時々それは寂しく不安になる。

けれど多分きっと、それが世界の面白さにつながっている。

だから、自然はおもしろい。
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2011年9月8日木曜日

自然のかたち、紋付あそび 2011.8.24

以前から個人的に興味ある,日本の家紋のデザインワールド。
誰でも知ってるこんなものから、驚きのあんなものまで、様々なものがデザインに取り込まれているが、なかでも大きなジャンルが花鳥風月のモチーフ。
八月半ばに大学生たちと自然の紋作り体験をやってみた。
新しいネイチャーゲームの一つとしても取り入れられているようだけど概要でいえば、
1、まず自然の中から興味あるものを一つ選び出し
2、次によく観察して
3、それを紋に表現する
4、みんなで作品を鑑賞する、そんなあそび。



出来上がったたくさんの紋を見ていると、同じ対象を扱っていても、個々の注目する点と美意識によって無限のバリエーションが生まれることに特に気づかされる。
紋として象徴化普遍化されてるはずなのになぜか個別化して見えるところがおもしろい。
出来上がった紋が表すのは「グループとしての自然」ではなくて、「作者」と「対象とした自然」二つの個だ。

ステキな紋作りのコツは
・じっくり対象を観ること
・観察結果から対象の特徴をシンプル、大胆に表現すること。
・描く時には太いマジックだけ用意しておくのもクッキリハッキリさせやすい。
小学生くらいの子供対象でもおもしろそうだが、大人を対象とするなら、慣れて来たら複数の素材を組み合わせた紋や、少しヒネリを効かせた「判じ紋」にしてみてもおもしろいし。
個人的には紋名を、例えば「丸ニ松笠親子蝶紋」などとそれらしく名付けるのも楽しい。
発展として紋切りあそびにつなげたりすれば、半日~一日、たっぷりとあそべる野遊びプログラムにできそうだ。

植物紋などの自然をデザインした紋が発達した背景には、やはり四季の変化のはっきりした日本ならではの特質と、
それを注意深く観察&活用しながら暮らしてきた歴史があるからでないかと実感できる。
そしてゲームをすすめる中でふと気づいたもう一つの別の事実は、
日本人の「名前」の中にも実に多くの「自然」が取り込まれているということ。
よく考えれば名字と家紋はイコールなので当たり前と言えばその通りなのだが、名字だけでなくイマドキの名前にも頻出している。

漢字やことばそのものも、まさにイメージそのもの。自然とイメージの関わりの世界は奥深く、それを読み解いたり組み立ててゆく作業は、とてもわくわくする。