2011年10月24日月曜日

象鼻杯で縄文に乾杯

今年のズーラのイベントで最も気になっていた「象鼻杯で乾杯」に参加しました。

場所は富士見町の井戸尻考古館
ここは建物はとても古〜い感じ(失礼)だけど、
収蔵する縄文時代の資料はすばらしい 一級品ぞろい。
なかでも水煙渦巻文深鉢は
昔葉書が10円だった頃の額面に描かれていたことでもおなじみ

そして館内の展示解説文がなんだかとてもアツくて
以前からとても気になっていたお気に入りの博物館。

さてさて、まずは館長さんによる、収蔵品と縄文土器の特徴の紹介。
館長さん、エネルギッシュで語りがアツイ!
どんどん提示される話題に惹き込まれた。すでに頭の中はジョウモンの謎で一杯だ。
そして敷地内の復元竪穴式住居に移動。
煙が立ち上る復元住居に入るには、頭がぶつかりそうな低い玄関から背をかがめてくぐらなければならない。
まさにタイムスリップ 。そしてお茶室みたい。
もうこれだけで、来てよかったなあと思った。
だって、夜に、遺跡跡で、復元住居内で、裸火を焚いている なんて!フツーあり得ない!!
わくわくしてきた。

住居の中心には火が焚かれ、車座にすわってまずは象鼻杯で古代米焼酎(度数40度!)を楽しんだ。
象鼻杯とは、穴のあいた蓮の葉を使った趣ある中国のお酒の楽しみ方。
葉に穴をあけ、酒を受けてチューチュー酔います、もとい吸います。
(吹くとあぶくがぷくぷく立つのもいい感じ)
水煙草みたいに茎の根本の方から吸うと蓮の香りも加わり野趣あふれる感じ。
酒が入っている間は両手を離せないのは、いいことなのか悪いことなのか。
こんな風にお酒を縄文人が楽しんだのかどうかは定かではないが、
みんなで飲んでる光景は なにかの密やかな儀式みたいでもあり
不思議な楽しさがあった。
暗くて象鼻杯シーンはあまり上手に撮れなかった

蓮の葉は水をはじきます


そして蓮の葉で包んだおこわや、縄文土器で作ったキノコ汁、串焼きの川魚など野趣あふれるおいしい料理を楽しみながら、
車座の中央に座る、前館長でもある小林公明さんから
縄文にまつわるさまざまな話しを聞いた。

個人的にこの2ヶ月ほど「月」に非常に興味が湧いていて、
いつも月を気にしていたりしたこともあり、期せずして、まさにドンピシャな話題。
しかも知的に刺激的。

・壁や天井があっただろう、竪穴式住居の構造・発掘状態からわかる炉を中心とした女性の座る位置
・縄文時代の家族構成は謎
・縄文土器は決して自由奔放に描かれたものではない
・壊される土器や土偶
・土器はどんな人が作ったのだろう

・縄文人の太陰的世界観 月とカエルとヘビと女性
・月になりたかった縄文人
・月の軌道と渦巻き(蕨手)模様
・縄文土器に穿けられた穴は眼
・漆や文様等に見る文化の伝播
・山地民俗である井戸尻文化圏
・縄文を理解するには科学的思考だけでなく直感的思考が必要

などなど、もっと書き留めておきたいけど、とりあえず覚えているテーマだけでも。
程よく酔っぱらいだったし。

謎は新たな謎を呼ぶ。新しい発見も多かったが、新たな極私的謎ポイントは
・だからカエルは漢字で月の蟲と書いてくんだ(蛙)月の木は桂だものね。
・カエルの語源は還る、甦る なんだろうか
・カエルやヘビからウサギにシフトしたのはなぜだ?跳ねるから?
・二十三夜講だとかの月待ちの風習の起源も、はるか縄文時代に遡る感性なのかも。
・食べるということの意味が今よりはるかに神聖(生死に直結)


 なんだか村長(ムラのオサ)から一族のいにしえの話を語られているかのような
この雰囲気、この話題、とても良かった。
眼をきらきらとさせた小林さん、
多分、終了時間の設定がなければ 夜がしらじらと明けるまで、語り明かしそうな勢い。
終るのが非常にもったい時間だった。

終了時、住居から出た時に思った。
今日はあいにくの曇り空だったが、
もしこのタイミングで、月がこうこうとあたりを照らしていたら
もう完璧すぎて言葉も出ないだろうなと思った。

縄文人も空を見上げたその同じ場所で、同じように空を見上げている。
歴史を思う時にいつも感じる、その時代を越えた連続感と言うか一体感。
そんな醍醐味を味わえた晩だった。

追記:土砂降りのなか、蓮を採集いただいたというスタッフのみなさん 、ありがとうございました。

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