桐って、国民ほぼ全員になじみがあって、大抵の人の財布の中にも入っているくらいなのに、
でも本物についてはあまりよく知られていないだろう植物。
古来、桐は鳳凰が止まる神聖な木とされてきた。
(ちなみに花札にはこの由来を受けて、桐に鳳凰が描かれている。)
だから菊の御紋に次ぐ高貴な紋(五七の桐紋)として天皇、
なじみのあるところでは織田信長、豊臣秀吉、他武家多数、
現代では日本国政府、内閣総理大臣の紋等として使われている。
パスポートにも描かれているし
リアルタイプなら500円玉の裏側に桐がある。
noomの財布の中と、こちら八ケ岳山麓ではあまり見かけないが、
前に暮らしていた新潟ではたくさん見かけたものだった。
この桐、自然に興味を持ちだした頃は、冬枯れの桐の木の下に落ちている
2種類の「種」がとても不思議な存在だった。
一つはまさに「桐紋」の上半分に描かれているような感じの、
ビロード状の皮に覆われた黄土色の、「小さな種」。
もう一つはクルミのカラを薄くつるんとしたようなカタチの「大きな種」。
手持ちの画像が見当たらなかったので参照用
紋のイメージからすると小さな方が種だと思っていた。
しかしよくよく観察すれば、大きな種のカラの中に、
風で散らばりやすそうな、とても小さな種がたくさん詰まっているものを見つけ、
こちらが正解なのだな、と分かったが、では「小さな種」は?。
それは、葉っぱが広がる前にまず咲く、桐の花の花芽だった。
桐に興味がでたところで、一つ謎が。
キリといえば、ピンキリ。ピンキリって何だということで少し調べてみた。
なにやら室町時代にポルトガルから伝来された「天正カルタ」がその語源のようで、
ピンとは1点の札、ポルトガル語の1を表す「pinta」(英語で言えばpoint)のこと。
つまり最初であり最低点のこと。
キリの方は「きりをつける」「きりがつく」の「きり(切り・限)」。
「物事がそこで終わりとなる。区切りのところ」という意味。
天正カルタは1~12まであり、12の札のことをキリと呼んだとか。
つまり一番最後という意味。
つまりピンキリとは本来は最初から最後であり、ピン=最低からキリ=最高という意味だったのが
江戸時代頃になぜか意味が逆転したらしい。
そしてもう一つの由来として花札の12月が桐の花なので桐→キリ→最後となったらしい。
由来は検索すると多数ヒットします。
http://allabout.co.jp/gm/gc/220580/2/
が、よくよく考えてみれば12月の桐なんて絵札に描かれるような花も葉も無く、
季節感なんてまるで感じられないのはなんだかおかしい。
これはきっと12→最後→キリ→桐でいいや、という語呂合わせが
絵柄の由来なんだろうな。それはそれでユーモアがあり楽しいな。
そうなると花札の一番目は松。
新年でおめでたいから松、というだけでなく
その葉っぱが「pin」に似ているから1番目のモチーフに採用したのでは?
などというピンキリ花札由来説を今考えてみた。
初夏、桐の紫色の花は、大きくたくさん咲き誇り、そのあとの葉ものびのびと広がる。
すくすく育つので娘が誕生するとキリを植え、嫁入りの時にタンスにするなんてのも有名な話。
それはキリという植物の成長の早さと、軽量、防湿、防火、割れや狂いが少ないという
木材としての優れた特質を活かしたというのももちろんあっただろう。
加えてキリは神聖で、区切りで、最高というのも、人生の大きな節目にはぴったりなのではなかろうか。
そういえば、へその緒の小箱も、棺桶にも、桐は多用されている。
桐は日本人のこの世とあの世の区切りと共にある。
wiki:キリ
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