2012年1月1日日曜日

神代も聞かず龍田揚

新年。今年の干支は辰。辰にちなんでなんか書きたいなと思ってしばし考えた。

立田揚げの「たつた」って何だろう

ネットで調べると
在原業平の有名な歌にちなんでいるからとされている。つまり
千早ぶる 神代もきかず 龍田川
からくれなゐに 水くくるとは

在原業平朝臣(17番) 『古今集』秋・294
訳:さまざまな不思議なことが起こっていたという神代の昔でさえも、
こんなことは聞いたことがない。龍田川が(一面に紅葉が浮いて)
真っ赤な紅色に、水をしぼり染めにしているとは。
つまり、立田揚げは龍田揚げ。
醤油等に漬け込んでから揚げる立田揚げは、
材料に染み込んだ醤油の色が揚げることで紅葉のような色合いになるため、
紅葉の名所である竜田川に紅葉が流れる姿が連想されるから。

ということなんだけど。

これ、自分の中で腑に落ちない。
それはやはり色。
noomのイメージでは、より赤茶に近いのが唐揚げ、
粉を吹いたように白っぽいことが多いのが立田揚げの姿なのだ。
さらにひいき目に見ても
千早ぶる〜の鮮やかな赤色もしくは錦の紅葉イメージと
立田揚げのあの茶色は明らかに違うと思う。

むしろ晩秋の冬枯れの森の朝、
霜が降りた落ち葉のじゅうたん色に近いと思うのだ。
では何だ。依然として謎。さらに調べる。


龍田姫という神様がいる。

平城京の西にある竜田山の神霊でもともとは風の神、
西は五行説では秋に通じるので秋の女神。
鮮やかな緋色や黄金の秋の草木の錦を纏った妙齢の女性として想像される。
「竜」が「裁つ」に音が似ているため裁縫の神としても信仰される。
また竜田山を彩る紅葉の美しさから、紅葉を赤く染める女神として染色が得意ともされた。

…だからこそ業平の句の「神代も聞かず」という比喩が活きてくる訳やね。
とりあえず、今回は龍田色=秋の色と少し近づいた所で自分的に納得。

でも、もしかしたら命名以前の「プレタツタアゲ」とは、
インドのタンドリーチキンのように
(異様なくらい)赤く染め漬けていた肉を使ったものだったのかもしれない。
そうだすれば大きな大きな鍋の中、
あつあつの油の上を次々と揚がってゆく一面の唐揚げが浮かぶ様は、
まさに竜田川の紅葉の風情!に見えたのではないか。

…年始にくだらないことを考えてるなと我ながら思うのだった。
あけましておめでとうございます。

付記:異説もあり。帝国海軍巡洋艦『龍田』にて
小麦粉の代用で片栗粉をまぶした揚げ物を発案、
龍田式唐揚げとして海軍内で調理法が広まったいわゆる「海軍めし」の一つ。
なんてものもある。多分こちらの方がもっともらしい。

こんなものもあった:日本唐揚協会

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